北海道・札幌・ススキノの今

八日投開票の札幌市長選で、家庭ごみ無料収集の是非が争点として注目されている。札幌では三十六年前の市長選でもごみ収集問題が最大の争点になり、選挙後に無料化し現在に至るという経緯がある。今回の選挙は、道都・札幌の今後のごみ政策を左右するだけに市民の関心も高まっている。

　「私はごみ収集の民間委託を進めることで今の無料化を続けます。有料化は不法投棄を招く可能性が高い」。四日、札幌市中央区で開いた個人演説会で、新人の前国土交通省技監・清治真人氏（５８）＝自民、公明推薦＝は、集まった主婦らに訴えた。

　札幌市は先月、市の審議会が家庭ごみ収集の有料化を盛り込んだ答申書を市に提出。再選を目指す現職の上田文雄氏（５８）＝民主、社民、市民ネット推薦＝は、有料化実施を明言してはいないが、再選された場合は、有料化を市民に問うことは確実とみられている。このため、上田氏に挑む清治氏の公約では、ごみ無料化の継続が目玉の一つとなっている。無所属新人の二階堂俊三氏（５７）も有料化に反対の立場だ。

　札幌市長選では一九七一年の選挙で、ごみ収集問題が最大の争点になった。

　当時助役だった板垣武四氏が初出馬し、革新系候補と一騎打ちを展開。当初は「板垣氏圧勝」とみられたが、対抗馬が猛追。板垣氏は急きょ、当時は有料だったごみ収集の無料化を打ち出し、約七千票差で辛勝した。

　それ以来、ごみ有料化復活は「タブーに近い政策」（市政推進室）とされてきた。しかし、政令市では京都市や福岡市など、札幌周辺でも江別市や小樽市が既に有料化するなど、ごみ減量推進や財政難を背景に有料化の流れは広がっている。

　上田氏の陣営は「有料化問題に深入りすれば有権者からノーを突き付けられかねない」（陣営幹部）と争点化を避ける姿勢をみせる。

　一方、清治氏陣営は「ごみ有料化の前に、まず市役所自らの行革を」と現職批判のボルテージを上げる。

　有料化の是非については各種アンケートでも市民の意見が割れている。無料継続か有料化か－今回の選挙で、市民の判断が示されることになる

(北海道新聞引用)